私は、依頼を受けて建設業許可の取得についてご相談を受ける場合で、複数の業種を行なっている依頼者の方には必ずご提案することがあります。
それは許可を取得しようとする業種のほかに、合わせて許可を取得したほうが良い場合があり、それらに該当する業務経験等がある場合は1つではなく複数の業種の許可取得を考え、実現可能な要件等を提案させていただいています。一般的に営業しようとする業種の許可を取得して、会社の経営が安定してくるとそれに関連する工事、顧客から依頼される工事がどうしても発生してきます。こうして初めて許可業種の追加を検討するケースが多くなります。法定金額未満の工事以外は許可を取らなければ受注できません。仕事を断るか、他の同業者に仕事を回すしかありません。但し、要件を満たしているからといって、多くの業種の許可を取得すればよいというものではありません。デメリットは、もしその業種の選任技術者が退社した場合は、すぐに後任を見つけることができなければ、その業種は手続き上、廃業手続きを取らなければなりません。その場合における取引先に対する悪影響等を考えると許可を取るのも慎重にならざるを得ません。
しかし、工事内容が密接に関連しているにもかかわらず、1つの業種しか申請しない等のケースが見受けられます。また、総合建設業者であっても、単独の専門工事を行なうにはそれぞれ許可が必要になります。意外にこのことが知られていません。とび、土工、コンクリート工事では、土木工事業許可を持っているだけでは受注できず、とび、土工、土木工事業の許可が必要となります。
<合わせて複数の許可を取得する場合の選択のポイントは下記のとおりです>
1 現在、取得している業種以外に許可が不要な軽微な工事を施工している場合は、その業種。たとえば建築工事業を取得している業者が軽微な大工工事を行なっ ている場合
2 付帯工事として関連受注および自社施工している場合はその業種。たとえば造園工事業を取得している業者が付帯して舗装工事を行なっている場合
3 自社を取り巻く経営環境を分析して検討した業種。たとえば公共工事発注者の工事発注の動向を探っての業種・・・経営事項審査を経ての公共事業を受注した い業者の方は、注文者からの要求に答える可能性を高めるためにも、関連業種の許可はぜひとも取得しておくべきです。
以上を検討した後、さらに
4 現実的に許可取得が可能かどうかを考えること。経営業務管理責任者と専任技術者がいるか、いないかを検討する。
<現在取得している業種と関連するので取得したい業種>
大木工事業・・・とび、土工工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、水道施設工事業
大工工事業・・・建具工事業、とび、土工工事業
電気工事業・・・電気通信工事業、鋼構造物工事業、管工事業
ガラス工事業・・・建具工事業
等々他にも多くの業種の組み合わせ例があります。詳しくお知りになりたい方は、どうぞお気軽に当事務所までお尋ねください。